えばぁの見解 居飛車穴熊編
５－B． 対先手藤井システム
8th February 2005
5-B． 先手藤井システム対居飛車穴熊
後手藤井システムは研究が複雑になり、愛用する人としない人に完全に分かれつつある。
羽生はやるが谷川はやらないというような、オールラウンダーの中でも使わないプロが多くなり、振り飛車党の中でも鞍替えしている人が見受けられる。
穴熊も有力、急戦も有力･･･で、どちらも警戒しなければいけないのなら、穴熊に組ませて自分もそれなりの陣形を作り戦うほうがいいと言う判断だ。前述のように穴熊に囲わせて戦う四間飛車も見直され、ゴキゲン中飛車や端歩位取り穴熊などの戦法も出てきているため、『藤井システムにこだわることもない』と言う流れになりつつあるようだ。
プロでもこれなのだから、アマチュアでは余計にその傾向が強い。
そんな後手藤井システムとは対照的に、先手藤井システムは'04年にかなり流行した。
振り飛車党ならば当然先手でも飛車を振る。後手藤井システムに比べて一手早い先手藤井システムは急戦に対して強い。そのため振り飛車は急戦を（後手番よりは）気にせず組むことができる。
よって居飛車も穴熊模様でがっちり対抗する順が研究され、あとで掲げるB４図が流行した。
B４図の初出は平成９年（1997年）12月の王位戦予選・▲藤井△高橋道雄九段。
それから今年で８年目。2000年前後にかけてはミレニアムの流行があったが、その流行も一段落した現在、再びこの局面に注目が集まっているというわけだ。
ここでは後手藤井システム同様駒組みを中心に、流行しているB４図からの居飛車の諸手段を解説していく。
先手藤井システムの駒組み
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B１図
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初手から
▲７六歩 △３四歩 ▲６六歩 △８四歩
▲６八飛 △６二銀 ▲７七角 △５四歩
▲３八銀 △４二玉 ▲７八銀 △３二玉
▲５八金左 △５二金右 ▲１六歩 △８五歩
▲６七銀
（B１図）
B１図が先手藤井システムの構え。一手早い先手であるため、急戦に対しても戦えるとして▲６七銀と上がっている。
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ここで居飛車の作戦は３つに分岐する。
１． △５三銀 ・・・ 本線
２． △１四歩 ・・・ 急戦の解説
３． △３三角 ・・・ ミレニアムを見た手
→ ２．△１四歩の変化
→ ３．△３三角の変化
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B２図
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B１図から
△５三銀 ▲１五歩 （B２図）
▲１五歩では▲４六歩と突くのもある。▲４六歩のほうが穴熊に対しては攻撃的だが、△７四歩▲４八玉△５五角▲４七金△６四銀という変則の急戦が出てくる。
※ 2005年バージョンは、▲１五歩より▲４六歩が多い。
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居飛車の作戦は３つに分かれる。
１． △３三角 ・・・ 本線
２． △７四歩 ▲４八玉 △６四銀 ・・・ 急戦
３． △７四歩 ▲４八玉 △３三角 ・・・ 急戦を見せて一転穴熊
→ ２．△７四歩▲４八玉△６四銀の変化
→ ３．△７四歩▲４八玉△３三角の変化
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B３図
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B３図から
△３三角 ▲４六歩 △４四歩 ▲３六歩
△４三金 ▲３七桂 （B３図）
B３図は居飛穴模様だが、まだここから△５一角と引き、ミレニアムに変化する余地が残っている。最近はB４図が流行のためあまり指されない形だが、有力だ。
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居飛車は穴熊か、ミレニアムかの２択。
１． △２二玉 ・・・ 本線
２． △５一角 ・・・ ミレニアム
→ ２．△５一角の変化
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B４図
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B３図から
△２二玉 ▲６五歩 △３二金 ▲４七銀
（B４図）
このB４図が、昨年（2004年）流行した局面。
ここで△１二香は、ないわけではないが、どうしても攻められると玉が狭いためあまり採用されない。進行例は△１二香▲２五桂△４二角▲４五歩△５五歩▲４六銀△２四歩･･･と言う感じになる。
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また、最終手▲４七銀のところで▲５六銀だった場合はすかさず△４五歩と反発する。角交換をすると△８六歩が残り振り飛車が忙しくなる。
だがこの局面でも△４五歩と反発する筋は残っている。その対策は後述する。
※ H17年10月NHK杯▲久保△北浜で、▲５六銀型が出現。直前に上記の定説が変わっていたからなのだが、分かれは居飛車よしだったらしい。
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よってB４図では以下の３手段が有力とされる。
１． △７四歩 ・・・ △７三桂や△５一角～△７三角の狙い
２． △４二角 ・・・ △１二香を保留し、△１二玉とかわす
３． △２四歩 ・・・ △２四歩▲２六歩△１二香▲２五歩△１一玉が狙い
また、最後にB４図で△４五歩と反発する順も解説する。
B４図最終手の▲４七銀が▲５六銀に代わっていた場合は有力な△４五歩だが、▲４七銀だとどう悪いのかと言う点を見ていく。B４図に限らず、振り飛車が▲６五歩と角筋を通した場合、△４五歩の反発は狙いの筋だからだ。
１． △７四歩
１図
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B４図から
△７四歩 ▲２五桂 △５一角 （１図）
△７四歩に対しては、即▲２五桂と跳ねるのが定跡。
一手待って▲５六銀左△５一角▲４五歩なんかだと、△７三角（桂取り。跳ねれば△１九角成）が絶好になってしまう。
以下△５一角と引いて１図。
振り飛車には２つの手段がある。
a.) 単に▲４五歩
b.) ▲１四歩 △同歩 ▲４五歩
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大まかに言えば▲４五歩はじっくり進み、▲１四歩△同歩▲４五歩は激しく進む。端を突き捨てたのだから当然でもある。
居飛車はそれぞれ対応が違う。振り飛車側の気持ち次第なので両方知らないといけないのが△７四歩の難点ではある。
a.) 単に▲４五歩
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１図から
▲４五歩 △７三角 ▲４四歩 △同銀
▲４五歩 △３三銀 ▲３三桂成 △同金寄
（２図）
１図から単に▲４五歩には、居飛車は△７三角と香取りに出る。
対して振り飛車は▲４四歩の取り込みから、決められるところまで決める。銀桂交換の駒損だがこれが定跡となっている。
△３三同金寄は△同桂と跳ねてもみたいところだが、桂頭が絶好の目標になってしまうので金で取る。
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２図
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２図では▲４六銀打とするのが定跡。▲３五歩と一気に潰しに行った実戦例もあるがあまり多くないので、本筋の▲４六銀打に絞る。
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※ ▲１四歩△同歩▲４五歩に△７三角と応じると･･･
ちなみに次項の▲１四歩△同歩▲４五歩に△７三角と応じると、２図までと同じ進行を辿って参考１図になる。これは１筋の突き捨てが入っているのが急所中の急所。
参考１図からは、
▲３五歩△同歩▲１四香△同香▲３四歩で居飛車がしびれる。▲３五歩に手抜きで△１九角成でも▲３四歩でやはり金を剥がされる。
これはあまりにも痛いので、次項の▲１四歩△同歩▲４五歩には△８六歩～△７三桂と応じるのである。
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参考１図
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２図に戻って、▲４六銀打からは△１二玉▲５六歩△２二銀と自陣に手が戻るのが一般的。後手の玉の堅さか、先手の厚みか、人によって形勢は異なると思う。
ちなみに、おそらく２図で今有名な対局が2004年８月・銀河戦▲久保利明八段△瀬川アマ（現・四段）である。瀬川アマは２図で▲４六銀に対し△５五桂と打ち、以下▲５六歩△４七桂成▲同金△１二玉▲２五桂・・・と進んだ。
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２図から
▲４六銀打 △５五桂 ▲５六歩 △４七桂成
▲同金 △１二玉 ▲２五桂 △２二銀
▲３三桂成 △同金 ▲１八飛 △５三桂
（３図）
冷静に見れば振り飛車のほうがいいのかもしれない（飛車が玉頭に回っている、金を剥がしている）が、この桂馬が渋いので載せてみた。
この後は少々新聞記事になったように、後手の勝ち。この対局がきっかけでプロ編入の声が大きくなった。
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b.) ▲１四歩△同歩▲４五歩
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１図から
▲１四歩 △同歩 ▲４五歩 △８六歩
▲同歩 △７三桂 （４図）
▲１四歩～▲４五歩には、居飛車は△８六歩～△７三桂と応じる。
△７三角で応じるとどうなるかは下で解説。
４図で▲４四歩△同銀▲４五歩は、△５五銀▲５六歩△６五桂で困る。そのため、４図では△６五桂を防ぐ必要がある。
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４図
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▲５六銀右（左）か▲７八銀かなのだが、最近は▲７八銀のようだ。
▲５六銀右（左）の場合は、下にある参考２図の解説を参照していただきたい。
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※ ▲４五歩に△８六歩▲同歩△７三桂と応じると･･･
前項の▲４五歩に△８六歩▲同歩△７三桂と応じるのもありそうと思うかもしれない。
それは以下、▲５六銀右△２四歩▲４四歩△同銀▲４五歩△５五銀▲同銀△同歩▲同角△４四歩▲同歩△５四金▲７七角と進んで参考２図。
参考２図までの進行を４図から行うと、１筋突き捨ての分居飛車が一歩持っているので、△５五歩と打って角道を遮断できる。
４図から▲５六銀右に対してはこの△５五歩でよいとされている。
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参考２図
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ところがただ▲４五歩だと、１筋の突き捨てがないために参考２図では居飛車に歩がない。よって角道が止めづらく困るのである。
こういう理由があるため、▲４五歩にはただ△７三角と据える。
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さて４図に戻って▲７八銀だが、戦いの間に上がった銀を下がるのだから、素人目にもあまり感触のよい手ではない。
居飛車は薄くなった角頭を狙う△７五歩か、角道を遮断して押さえ込みを狙う△５五歩。以下の変化は実戦例からの一例。
１．△７五歩 ・・・ 斬り合い
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４図から
▲７八銀 △７五歩 ・・・ 以下、斬り合いになる
▲６四歩 △７六歩 ▲８八角 △６四歩
▲４四歩 △同銀 ▲４五歩 △５五銀
▲５六歩 △４六歩 ▲３八銀 △８六飛
▲８七歩 △７七歩成 （５図）
進行は2004年７月・順位戦▲山本真也四段△伊奈祐介五段。
▲４五歩に強く△５五銀と出たのは、５図以降△５六飛で銀を助けられるから。
最終手△７七歩成を▲同角だと、後々△６五桂が当たる。よって実戦は▲７七同桂と取り、△５六飛▲６七銀△５八飛成・・・と進んだ。
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５図
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２．△５五歩 ・・・ 押さえ込み
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４図から
▲７八銀 △５五歩 ・・・ 角筋を止めて押さえ込み
▲４四歩 △５四金 ▲５六歩 △６五桂
▲８八角 △９五角 ▲５五歩 △４五金
▲５四歩 △４四銀 ▲４六歩 △５五金
（６図）
進行は2004年６月・順位戦▲島本亮四段△西尾明四段。
居飛車は角筋に気をつけながら桂馬を跳ねだして、５筋に圧力をかけていく。
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先手は▲５五角と切り△同銀▲６五飛と進めたが、△８六角▲６八歩△５七歩▲同金△５六歩▲６七金△６四角となると、次に△８八飛成はあるわ△３七角はあるわで居飛車がいいと思う。
なので振り飛車としては、▲４四歩か▲５六歩のところで▲４六銀としたほうがいいのだろう。
※ この戦型は、△２四歩▲２六歩の交換を入れてから△７四歩と言う形も出ている。
２． △４二角
１図
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B４図から
△４二角 ▲４五歩 △１二玉 （１図）
△４二角は△１二香のタイミングを遅らせる意味。また、１図から単に▲４四歩△同銀と進んだとき角が８筋を直射する。
公式戦での初出は2002年８月・王座戦挑決▲藤井△佐藤康光。
その対局は１図から▲４六銀△４五歩▲１四歩△同歩▲同香と激しく進んだ。結果はギリギリのラインを凌いで佐藤勝ち。
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現在は１図で▲５六銀左と出るほうが、振り飛車としては有力なようだ。
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１図から
▲５六銀左 △２二銀 ▲６四歩 △同歩
▲４四歩 △同銀 ▲４六銀 （２図）
居飛車はいわゆる串カツ囲い（△１二玉型のこと）へ。
振り飛車は６筋を突き捨て（角道を止める）、▲４四歩と取り込んでから▲４六銀と圧力をかける。
２図で居飛車が怖いのは好機の▲２五桂。端攻めをされると玉が香車の上に乗っかっているため当たりが強い。
なので△８六歩▲同歩△２四歩と防ぐと・・・
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２図
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２図から
△８六歩 ・・・ 好機に△８六角と出る味付け
▲同歩 △２四歩 ▲４五銀直 △同銀
▲４四歩 △同金 ▲４五銀 △同金
▲同桂 △５五歩 ▲４四歩 △５四銀
▲４三銀 （３図）
▲４五銀直△同銀にすぐ▲同銀とせず、▲４四歩△同金としてから▲４五銀。こうして攻めの銀２枚と囲いの金銀を交換し、▲４四歩の拠点からガジガジと銀を打ち込んだ３図は振り飛車がよい。
この進行は2003年11月・順位戦▲千葉幸生四段△松本佳介五段。
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３図
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他、例えば２図で８筋を突き捨てず△２四歩なんかだと３図の▲４四歩は打てないため、違う展開になる。
他にも手があると思うが、振り飛車の基本は銀２枚の圧力＋▲２五桂。
３． △２四歩
１図
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B４図から
△２四歩 ▲２六歩 △１二香 （１図）
最近有力とされてきているのがこの△２四歩。
結局振り飛車は▲２五桂と跳んで仕掛けてくるので、その手を消してから穴熊に潜ろうと言う手段である。
公式戦初出は2004年９月・竜王戦挑決トーナメント▲谷川△渡辺で、それ以後よく指されている。
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振り飛車はここから２つの進め方がある。
a. ▲２五歩 ・・・ 居玉で戦う
b. ▲３八金 ・・・ 右玉＋棒金
a.) ▲２五歩
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１図から
▲２五歩 △１一玉 ▲２四歩 △２二銀
▲５六銀左 △２四角 （２図）
▲２五歩と突っかければここまで一直線。
振り飛車が仕掛けるには▲４五歩。居飛車は即△２三歩と打って傷を消す。
そう進んだのは2004年７月・竜王戦本戦▲谷川△渡辺明五段で、以下▲３五歩△同角▲６四歩△同歩に▲４八金直と渋く待った。
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２図
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これが不満なら（えばぁは不満だと思う）、２図でいきなり▲２三歩と叩く。
△同銀はそれこそ▲４五歩なので△同金だが、そこで▲４五歩と仕掛ける。まだこっちのほうがまし（戦法の主旨から言えば）だと思う。この進行は2004年10月・銀河戦▲川上猛五段△岡崎洋六段。
H17年11月棋王戦▲久保△郷田戦では、２図から▲４五歩△２三歩▲３五歩△同角▲４八金直と６筋を突き捨てず進み、△４五歩▲同銀△４四歩に▲３三歩！と叩いた。実戦は久保が勝ち、郷田は「試した作戦が論外だった」とコメントを残しているようだ。
b.) ▲３八金
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１図から
▲３八金 △１一玉 ▲４八玉 △２二銀
▲６九飛 △７四歩 ▲２九飛 △５一角
▲２七金 （３図）
２図で▲２五歩以降の展開に難があるとすれば、▲３八金とする指し方も考えられる。この進行は2004年11月・近将カップ決勝（非公式戦）▲杉本昌隆六段△渡辺明五段。
３図から△７三桂に、杉本は▲２五歩△同歩▲１六金と攻めていった。
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３図
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△２四歩～△１二香自体が新しい指し方であるため、その対抗策である▲３八金以下、▲２五歩以下もまだ手探り状態にある。
ex. △４五歩
△４五歩の基本
０図
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B４図の▲４七銀を▲５六銀に代えた図から
△４五歩 （０図）
０図が△４五歩と反発する筋が効果的な局面。振り飛車は角交換が避けられない。
ここからは▲４五桂△７七角成▲同桂△４四銀と進み、そこで積極策の▲６四歩か、▲８八飛の一歩得主張かということになる。
しかし▲６四歩は△８六歩からの攻め合いが居玉に響き、▲８八飛は△７三角から攻められっぱなしになる。
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よってB４図の一手前で▲５六銀とするのは△４五歩のおかげで消え、▲４七銀のB４図が主流となった。
2005.11.5追記
春に、NHK将棋講座テキスト付属の次の一手問題集にて、この変化の新変化が解説されていた。
従来は０図から▲４五同桂△７七角成▲同桂△４四銀▲６四歩△８六歩▲７一角△８四飛▲６三歩成△８七歩成▲５三と△７七と▲６一飛成と進んでいて、先手ダメと言われていた。しかし▲６一飛成を▲６二飛成に代え、以下△５三銀▲同桂成△同金▲３二竜で先手指せるという解説であった。プロでもそのような判断になっているらしく、事実、今期NHK杯２回戦▲久保△北浜戦で▲５六銀型が登場した。しかし分かれは居飛車よしらしい。
B４図からは・・・
１図
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B４図から
△４五歩 ▲６六銀 △４六歩 ▲同銀
△４二角 （１図）
▲４七銀と備えたB４図で△４五歩には、▲６六銀と角道を止める。
△４六歩の取り込みを▲同銀と取れるのが▲４七銀と備えた利点だ。そして居飛車は▲４五桂を避けて△４二角。
以下は2000年６月・順位戦▲藤井△高橋を参照する。
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１図から
▲７五銀 △４四銀 ▲３五歩 △７四歩
▲４五銀 △５五歩 ▲４四銀 △同金
▲４五銀 △同金 ▲同桂 △４四銀
▲３四歩 △７五歩 ▲３三金 （２図）
振り飛車の猛攻に居飛車は△５五歩と角道を止める。
しかし振り飛車は▲５五角と出ると王手飛車がかかる筋を含みに攻めを続けて２図。以下、△同桂▲同歩成△同角▲同桂成△同金▲２五桂から攻め倒した。
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まとめ
本編が長くなったことからわかるように、先手藤井システムの攻防はB４図が今一番ホットである。
後手藤井システムが急戦にも穴熊にも悩まされている現状を見ると、いかに現代将棋での先手番と言うのは大きいのか、わかる気がした。
また、ここでは△５三銀を省略して穴熊に組むとか、△５二金左も省略して組むとかと言う、「居飛車が出来るだけ早く穴熊に潜ろうとする」順は割愛した。その順は『最強藤井システム』や『四間飛車を指しこなす本』などで解説されている基本知識的なものなので、そちらを参照していただきたい。
最近の藤井の将棋を見ていると、藤井システムでも駒組みが一局一局違っていることに気づく。
本人の中では当然意味があるのだろうが、わからない人間から見るとさっぱりで、改めて難しいなと思った。
また、ここ数年、総合的に藤井システムを解説した本が出ていない。『島ノート』や『最前線物語』のように、いきなり課題の局面が出てきてどうだこうだと解説する本ばかりである。
出るかどうかもわからないが、『四間飛車の急所 藤井システム編』に期待したい。