えばぁの見解 四間飛車編
3rd September 2003
前回宣言してしまったがために、今回から4回連続で各振り飛車に対するえばぁの偏見を綴っていこうと思います。
もちろん一般に言われる知識も書いていきたいと思いますが、そこはなんせ「24は嫌い」といって足も踏み入れない人間の書くことですから、レベル的には初級者に毛の生えた程度でしょう。
指したことない人が見てもわかるようにしたいと思っていますが、役に立つかどうかもわかりません(笑)。
この見解について「???」と思う人もいると思いますし、しかもそこに偏見が入りますので文句をつけたくなるかもしれません。
しかし、2ちゃんねるでは24で低級らしいアニタマ・・・もといカニタマさんが棋書スレでいろいろ戦法について書いていると言う前例もあり(一応棋書による裏づけはありますが・・・)、その辺は見ている人も少ないことですし、「俺は俺、おまえはおまえ」の寛容な精神でお願いします。
(事実の誤認に関するクレームはBBSかメールで受け付けております。)
今回のネタは「四間飛車」にします。
何故四間飛車から始めるのか。
それは、振り飛車の中では一番四間飛車が流行っていると思うから・・・というのがひとつ。
もうひとつの理由は、確か9月中に藤井九段の書いた「四間飛車の20年」という本が出てしまうので、「それより先に発表してしまおう!」と思ったからであります(笑)。
何はともあれ、四間飛車が流行っていることは疑いようもない事実です。
現在のトップ棋士では藤井猛九段を筆頭に、果てはあっこたん(中倉彰子女流)からばんかな(坂東香菜子女流)まで四間飛車をします。
その流れを作ったのは、やはり大山康晴十五世名人でしょう。
さて、その四間飛車の特徴について2つ挙げてみたいと思います。
1.駒組みがかなり平易な上、玉が堅い (図の後手陣)
振り飛車全般に言えることですが、飛車を振って美濃囲いを作ることが非常に簡単だということ。 |
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そして美濃囲いはたとえ持久戦になろうとも、高美濃囲い、銀冠への組み換えができ、進展性にも事欠かない囲いです。
しかもその美濃囲いがこれまた堅い。 |
2.攻撃力(反発力)がある
「玉の堅さ」は振り飛車全般の話になってしまいましたが、それに加えて四間飛車では▲6五歩(△4五歩)が飛車先を突き角道を通す、かなりの攻撃力を持つ手であるという特徴があります。
上記の玉の堅さ・進展性と▲6五歩(△4五歩)の攻撃力のバランスが、大山名人に四間飛車を採用させた一因であるとも言われています。
アマでの四間飛車の流行は、特に2番の理由が大きいと思われます。
▲6五歩(△4五歩)は急戦だと居飛車側に仕掛けをさせてから突くもの。
こちらから先に突く(上図で△4五歩)のは普通「手詰まりになりやすい」と言われますが、初心者同士の戦いの場合はそうでもなく、玉の堅さに物を言わせて攻め続け四間側が勝ってしまうことも多々ある。
(あまりいい傾向ではないと思いますが。)
それが四間飛車流行の一因であるとえばぁは思うわけです。
(会ったころの師匠がそうだった。)
ただ本来、「相手が攻めてきたところを切り返してさばく」のが基本ですので、そこのところよろしくお願いします。
参考として、「四間飛車の最高の姿」と言われる山田定跡の一変化をご覧ください。
ちなみに、実戦でこんなにうまく行くことはほぼありません。
そうやってプロでも多く指されるようになった四間飛車ですが、あるとき四間飛車のみならず振り飛車全般の前に立ちはだかる大きな壁が現れました。
「振り飛車の美濃囲いと同じくらい、またはそれより堅くしてしまえ」という居飛車側の戦法。
そう、左美濃と居飛車穴熊の流行です。
玉の堅さが「同じ/居飛車のほうが堅い」であれば仕掛けの権利を持つ居飛車側のほうが指しやすく、振り飛車側の終盤勝負は通じなくなり、圧倒的な勝率を誇りました。
しかしその後スーパー四間飛車から藤井システムを経て、現在の四間飛車は左美濃・居飛車穴熊を相手に戦えるようになっています。
というあたりで、現代の四間飛車の分類を、対居飛車穴熊という観点から分類してみようと思います。
昔ながらの居飛車急戦に対してはパッと見、劇的な対抗方法の変化というのはないので、ここでは端折らせていただきたいと思います。
1.藤井システム
えー、ひとつお詫びを。
「四間飛車・藤井システム」として以前にもひとつ文章を書きましたが、そこでえばぁは「居飛車穴熊用の・・・」と藤井システムを定義しています。
が、本来、藤井システムと言うのは対左美濃のために開発、見事左美濃が減ったため今度は居飛車穴熊を標的に・・・ということらしいです。
藤井システムは、それまでの四間飛車の指し方とは全く異色のものです。(左図) |
またその居玉のために、対藤井システム特有の仕掛けが居飛車側の選択肢に生まれます。
つまり、「藤井システム」+「対藤井システム特有の急戦」を覚えなければならず、初心者が手を出せる戦法とは言い難いものがあります。
高段者でも「玉が薄い」として採用しない人もいるので、「覚えたほうが幅は広がるけど、必須ではない」というのがアマチュアでの現状と思われます。
えばぁは、前にも言っていますが藤井システムを使います。
新し物好きだというのが大きな理由です(笑)。
参考として、藤井システムの一変化をご覧ください。
2.鈴木システム
たいそうな名前はついてますが、何のことはなく、居飛車穴熊に対し▲6六銀(△4四銀)型+銀冠、高美濃で対抗する四間飛車です。(左図) ただし忘れてはいけないのが、「銀冠より居飛車穴熊のほうが堅い」ということです。急戦と同じような指し方(終盤頼み)をしていると逆にやられることは忘れてはいけません。 |
鈴木システムとついていますが、最近その鈴木はゴキゲン中飛車ばっかりのような気がします。しかししっかり本は出ていますので、興味があればどうぞ。
駒組み~仕掛けまでですが、参考棋譜はこちらです。
3.立石流四間飛車
半分は三間飛車の範疇になりますが、四間飛車の一種です。
アマチュア強豪の方が発案した戦法なのですが、そこから広がってプロでも使われたこともあります。
大雑把に言えば「四間飛車にしてから飛車を浮き、石田流に組む」。 |
そのため居飛車側は角交換を避けることが多いのですが、それなら石田流に組めた振り飛車側も悪くないという構想です。
駒組みの仕方、狙いは こちらの棋譜をご覧ください。
4.四間飛車穴熊
「藤井システムも鈴木システムも立石流も、玉が薄くて嫌!」という人がたどり着く戦法です。 |
ただ、えばぁは相穴熊が嫌いです。
玉を固めてポーン!というのがどうも性に合わず、やりません。
美濃囲いで十分でしょう・・・振り飛車は。
その、「何も考えず一直線に穴熊」っていう人がいるから、嫌いなのかもしれません。
相穴熊の 参考棋譜はこちらです。
定跡から話をすれば、居飛車穴熊対策に上記のうち1つ。
(立石流と穴熊はそれ一本も可能・・・?)
そして急戦(斜め棒銀・棒銀・早仕掛け)対策、
持久戦(5筋位取り・玉頭位取り・左美濃)対策。
これくらいが必要でしょうか。
四間穴熊一本しかしない人もいますが、えばぁ的に「論外」なので無視します(笑)。
まぁ、「手将棋でいいですよ」というならこんなの構わないんですけどね。
注 四間飛車の左銀の位置
とても大事な話です。
えばぁは四間飛車を始めたころから、左銀はいつも▲6七銀(△4三銀)と上がっていました。
しかし、四間飛車は▲7二銀(△3二銀)型のほうが急戦に強いです。
銀を二段目で待機することによって、まず早仕掛けがなくなります。
よって居飛車が急戦するとすれば(新)鷺宮定跡・山田定跡・棒銀(?)だったと思いますが、えばぁは今でも藤井システムのため銀を上がりますので、解説できません(笑)。
申し訳ございません(笑)。
ただ、左銀を二段目で待機していると居飛車側は穴熊に組みやすい面もありますので、その辺は一長一短です。
一方、▲6七銀(△4三銀)と上がるのは居飛車側に急戦法の幅を広げさせることになります。
その代わり、居飛車穴熊に対しては▲5六銀(△5四銀)と出る手を見せられます。
どっちがいいのかは、急戦が嫌か居飛車穴熊が嫌か・・・という、指す人次第の問題です。
こんなもんでしょうか。
知っていることは書き尽くしたと思われます。
四間飛車に関しては穴熊以外にあまり偏見というものはないです。
あるとき大失敗して、恥ずかしくなって使わなくなった立石流にはあまりコメントを出せないという弱みもありまして(笑)。
あ、そう言えば相振りに関して書いてないですね。
あと、振り飛車のマイナス面についても少し書いてみたいと思います。
※ 相振り飛車での四間飛車
相振りに関してはえばぁはほとんど向かい飛車にしますが、相手が初めから矢倉志向の場合四間飛車に振るのも有力そうです。
また、相手が相振り四間飛車の場合、金無双にはどうもしづらいです。
飛車が玉のコビンをにらんでいるのがどうも気に食わないんで。
とはいえ一般的に、相振り四間飛車はその筋の歩を交換した後、他の筋に飛車を振りなおすのが多くなるようです。
そのため「相手に先攻される可能性がある」と言うのが相振りでの四間飛車の評価のようです。
ただし、藤井は相振りでも四間に振ることがあります。
また、相振り飛車は最近流行しつつあるものの定跡が整備されているとは言えないところがあり、高段者ならともかく、初心者は振りなれたところに振っていても構わないと思います。
※ へっぽこ振り飛車の負け方と弊害(実体験より)
1.駒損してもとにかく飛車をさばこうとするが、さばいたころには攻め駒が足りない。
これが最も多いでしょう。ただ、これがうまく行ってちょっと上の人にも勝つことがときどきあり、なかなかやめられないと言う悪循環にはまる人もいます。
(・・・そうです。)
2.自玉を見なくなる。
1番にハマってしまった人はこれにもハマっていることが多々あります。
美濃囲いの堅さを過信した場合に起こります。
堅いといっても世の中に振り飛車が多い分、美濃囲いの崩し方も手筋として広まっていることを忘れてはいけません。
前述していますが、美濃囲いは「船囲いと比べて」堅いんです。
玉の堅さは相手と比較して考えますので、左美濃や居飛車穴熊相手では美濃囲いのほうが堅くないことを覚えましょう。
(・・・はい。)
3.玉頭銀は最強だと思ってしまう人がいる。
四間飛車に振り、さっさと▲6七銀と上がり、そのまま▲5六銀~▲4五銀と出て行く戦法を知っていますでしょうか。
あれを、玉頭銀戦法と言います。
世の中には面白い人がいて、何が何でも玉頭銀にする人がいます。
確かに、船囲いの玉頭の歩を無条件で取れれば一歩得ですから有利です。
しかし角頭が弱くなるというデメリットが生まれ、左翼であっという間に不利になってしまうことがあります。
それでは一歩得も何もあったもんではなく・・・むやみやたらにやるのは、次の4番とも関連しますが、やめたほうがいいと思っています。
(ちなみに、玉頭銀は早仕掛けに対して牽制となる。)
4.序盤に無頓着になりやすい。
今でもうまいとは言いませんが、昔えばぁは相振りがとても下手でした。
高校生のときに大会に出ましたが、相振りにはいつもボロ負けしていた記憶しかありません。
それはなぜか。
相振り飛車は三間飛車のほうが序盤の手が広く、先攻するだけなら三間が有効なんです。
ということは相手の手に注意を払わないといけなくなりますが、いつも「飛車振って~、美濃囲い作って~」とだけやっているとそれが出来ないんです。
美濃囲いは上部には強くないし、四間飛車は左銀を上がると相振りでの速攻には向かないので受けになりやすいことを、えばぁは「気づこうとしなかった」がために負け続けたと言うわけです。
振り飛車を指していると、1・2で述べた理由から「中盤駒がぶつかってからが勝負!」と思い込んでしまう例がありますが、「駒がぶつかったときには既に形勢が悪くなっていることがある」と言うことを、えばぁみたくならないよう覚えることが肝心だと思います。
もし!
ここまで読んできて四間飛車のみならず振り飛車をやろうと思ってくれた人がいたならば、以上のことにご注意ください。
こう自己分析をした結果、えばぁは序盤からピリピリする藤井システムを選んだんです(笑)。
上記の3つの点(玉頭銀はやらない)を直そうとしたのですがさすがにすぐには直らず、ちょっと居飛車をやると言う回り道を通って、今結果を出してみようとがんばっておりますので、終盤、かなり四間飛車からは離れた感じはしますが、「えばぁの見解・四間飛車編」、この辺でお開きにしたいと思います。
次回は・・・どれにしましょう(笑)。
「三間飛車」は最後に取っておくとして、「向かい飛車」か「中飛車」のどちらかにしたいと思っています。