16th FEBRUARY 2022
個人には棋風があり、好きな戦型・嫌いな戦型・指すことができる戦型・できない戦型があります。
何でも出来るのが好きな人もいれば、勝つために戦型を絞る人もいます。アマチュアでは大抵後者であることが多いようです。
実戦において、相手の指してくる形を早く判断することは、自分の指す形を決めるために重要です。
なので、4手目までにある程度の指針を作ろう。そう思ってこれは作りました。
戦型の判断は序盤派・定跡派にとって重要となります。
学んだ定跡が使える形に持っていくことが勝利への第一歩だからです。
【前文:2003年3月11日記】
目次
※注意!!
将棋は(基本的に)人と人が指すものです。
このチャートの中では戦型が「こうなる!/こうしたほうが妥当」といっているところがありますが、 その戦型を相手が嫌っている可能性もあるわけです。
「たとえ一方的に飛車先を交換されたとしても、自分は横歩は嫌だ!」とか「角道止めちゃったけど相手が振ってきた! でも俺、相振り飛車なんかできねーよー」と思っている人が、この後の進行を知らず、訳もわからず進めている場合もあります。
なので、必ずしもここで判断した通り進むとは限りません。あしからず。
手数を6手目まで伸ばしたグレードアップ版『初手~6手目で戦型判断』では、5・6手目の分岐に加え、▲7六歩・▲2六歩以外の初手、△3四歩・△8四歩以外の2手目についても検討しています。
1手目 |
2手目 |
3手目 |
4手目 |
戦型 |
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▲7六歩 |
△8四歩 |
▲6八銀 矢倉の出だし。 |
△3四歩 |
▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩
基本的な矢倉の出だし。5手目に、先手が▲6六歩か▲7七銀を選択する。その手次第で後手の急戦も変わってくる。具体的には、▲6六歩には右四間飛車、▲7七銀には矢倉中飛車。 その時々で流行り廃りがあり、1990年代から2010年代前半までは▲6六歩が主流だったが、その後新型の急戦が現れたことで▲6六歩は廃れ、▲7七銀が主流となっている。 矢倉、対抗形
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矢倉 | 対抗形 |
△8五歩 |
▲7六歩△8四歩▲6八銀△8五歩
後手が飛車先を決める順。
矢倉、対抗形
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矢倉 | 対抗形 | |||
▲2六歩 角換わりの出だし。 |
△3二金 |
▲7六歩△8四歩▲2六歩△3二金
角換わりの出だし。
角換わり、矢倉
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角換わり | 矢倉 | ||
△8五歩 |
▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩
角換わりの出だし。
角換わり、矢倉
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角換わり | 矢倉 | |||
△3四歩 |
▲7六歩△8四歩▲2六歩△3四歩
▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩と同じ局面。
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▲5六歩 2手目△8四歩には石田流が出来ないが、▲5六歩はそれに代わる先手振り飛車の有力手段。中飛車か、向かい飛車に振ることが多い。 |
△8五歩 |
▲7六歩△8四歩▲5六歩△8五歩
以下▲7七角と上がり、
対抗形
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対抗形 | |||
△3四歩 |
▲7六歩△8四歩▲5六歩△3四歩
▲5五歩または▲5八飛で中飛車。
対抗形
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対抗形 | ||||
△5四歩 |
▲7六歩△8四歩▲5六歩△5四歩
▲5八飛で中飛車にし、▲5五歩△同歩▲同角と突っかける筋が残る。ただし、その勝率は後手のほうが高い。
対抗形、矢倉
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対抗形 | 矢倉 | |||
▲7八金 1990年代に入ってから増加した3手目。高田流とも言われる。 |
△8五歩 |
▲7六歩△8四歩▲7八金△8五歩
以下▲7七角△3四歩▲8八銀ならば、飛車先不突で角換わりが出来る。他にも▲2六歩と突けば横歩取りにも持ち込めるので、まだ何にでも出来る出だしである。
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戦型未確定 | |||
△3四歩 |
▲7六歩△8四歩▲7八金△3四歩
▲7六歩△3四歩▲7八金△8四歩と同じ局面。
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△3二金 |
▲7六歩△8四歩▲7八金△3二金
後手が様子を見た形。高田流は▲5六歩と突いて中飛車を目指せば作戦勝ちできるとする。実戦では▲6八銀か▲2六歩で、矢倉か角換わりを目指すことが多い。
戦型未確定
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戦型未確定 | ||||
▲7八飛 三間飛車の再評価によって増えている手順。 |
△8五歩 |
▲7六歩△8四歩▲7八飛△8五歩
三間飛車
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対抗形 | |||
△3四歩 |
▲7六歩△8四歩▲7八飛△3四歩
三間飛車
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対抗形 | ||||
▲6八飛 |
▲7六歩△8四歩▲6八飛(▲7八飛、▲5八飛)
飛車を振っておく。
対抗形
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対抗形 | ||||
▲7五歩 |
△8五歩 |
▲7六歩△8四歩▲7五歩△8五歩
石田流っぽいが、△8五歩を伸ばせば▲7七角と受けるしかなく、すんなり本組には出来ない。
対抗形、居飛車力戦
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対抗形 | 居飛車力戦 | ||
▲7七角 |
△3四歩 |
▲7六歩△8四歩▲7七角△3四歩
矢倉と思わせて先手がひねった順。角換わりに進むことが多いが、後手が角道を止めた場合は右四間飛車がある。
角換わり、対抗形、居飛車力戦
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角換わり | 対抗形 | 居飛車力戦 | |
▲6六歩 |
△3四歩 |
▲7六歩△8四歩▲6六歩△3四歩
相手の角道が止まっているのにわざわざ▲6六歩と突くのは、ほぼ振り飛車党と見ていいだろう。
対抗形
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対抗形 | 矢倉 | ||
△8五歩 |
▲7六歩△8四歩▲6六歩△8五歩
▲7七角と受け、先手は矢倉にしづらい。
対抗形、矢倉
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対抗形 | 矢倉 |
1手目 |
2手目 |
3手目 |
4手目 |
戦型 |
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▲2六歩 |
△8四歩 |
▲2五歩 先手が相掛かりを目指す。後手の応手を6種類紹介しているが、ほとんど△8五歩である。 |
△8五歩 |
▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩
相掛かり、角換わり、横歩取り
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相掛かり | 角換わり | 横歩取り |
△3二金 |
▲2六歩△8四歩▲2五歩△3二金
ちょっとひねった手。▲2四歩△同歩▲同飛なら△2三歩で、先手の飛車の引き場所を尋ねる。流行の▲2八飛型であれば後手からも飛車先を切り、結局普通の相掛かりに戻ってくる。▲2四歩△同歩▲同飛に△3四歩や△1四歩と、△2三歩を保留する変化も選べる。
相掛かり、横歩取り
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相掛かり | 横歩取り | ||||
△3四歩 |
▲2六歩△8四歩▲2五歩△3四歩
これもひねった手。▲2四歩△同歩▲同飛なら△8五歩と伸ばしておく。龍が出来るとばかりに▲2三飛成は、△8六歩▲同歩△8七歩と打たれて先に角損してしまう。したがって▲7八金が正しい。
相掛かり、横歩取り
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相掛かり | 横歩取り | ||||
△1四歩 |
▲2六歩△8四歩▲2五歩△1四歩
▲2四歩△同歩▲同飛なら△3二金で、▲2三歩には△1三角とかわした手が飛車当たりの上に△5七角成を見せている。
相掛かり、横歩取り
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相掛かり | 横歩取り | ||||
△3二銀 |
▲2六歩△8四歩▲2五歩△3二銀
一応角頭は受けているが、▲2四歩△同歩▲同飛が角取りなので必ず△2三歩と打たなければいけない。また、4一の金の活用が難しくなるので普通は指されない。
居飛車力戦
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居飛車力戦 | |||||
△1二香 |
▲2六歩△8四歩▲2五歩△1二香
▲2四歩△同歩▲同飛に角頭を受けず△8五歩と突く。
奇襲戦法
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奇襲戦法 | |||||
▲7六歩 |
▲2六歩△8四歩▲7六歩
▲7六歩△8四歩▲2六歩(角換わりの出だし)と同じ局面。つまり後手は、先手の初手が▲7六歩でも▲2六歩でも、2手目に△8四歩と突くのであれば角換わり対策が必要である。 |
1手目 |
2手目 |
3手目 |
4手目 |
戦型 |
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▲2六歩 |
△3四歩 |
▲7六歩 |
▲2六歩△3四歩▲7六歩
▲7六歩△3四歩▲2六歩と同じ局面。プロの世界では、▲2六歩△3四歩の出だしにおける3手目は▲7六歩が圧倒的に多い。 |
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▲2五歩
形を決める手。 |
△3三角 |
▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角
先手が飛車先を決めてしまう手。ここから後手は矢倉でも角換わりでも振り飛車でも不満のない序盤に出来る…と言うのが定説で、実際に先手勝率もよくない。その一方、このように進むと後手は横歩取りとゴキゲン中飛車に出来ない。それを横歩・ゴキゲンから「逃げている」と見てプロ間の評価が低くなっていたのだが、2013年の名人戦第4局で現れて以降、横歩・ゴキゲン「封じ」と言う認識も現れつつある。 対抗形、角換わり、矢倉
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対抗形 | 角換わり | 矢倉 |
△3二金 |
▲2六歩△3四歩▲2五歩△3二金
先手が▲7六歩と指せば、一手損角換わりの可能性も生じる。▲2四歩△同歩▲同飛なら△8四歩として相掛かり・横歩取りの出だしに戻せる。
相掛かり、横歩取り、角換わり、対抗形
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相掛かり | 横歩取り | 角換わり | 対抗形 |
△8四歩 |
▲2六歩△3四歩▲2五歩△8四歩
▲2六歩△8四歩▲2五歩△3四歩と同じ局面。
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△5四歩 |
▲2六歩△3四歩▲2五歩△5四歩
▲2四歩△同歩▲同飛には△3二金と上がり、▲3四飛と横歩を取ってきたら△4四角などとして指す。
居飛車力戦、対抗形
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居飛車力戦 | 対抗形 | ||
△3二銀 |
▲2六歩△3四歩▲2五歩△3二銀
都成流4手目△3二銀。▲2四歩△同歩▲同飛には△3一金と寄り、次は▲2八飛でも▲3四飛でも△4四角~△3三銀~△2二飛が狙い。 対抗形、居飛車力戦
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対抗形 | 居飛車力戦 | ||
▲4八銀 ▲2五歩△3三角を決めると向かい飛車にされるのを警戒した手。後手が居飛車だと▲4八銀が損になるケースがある。 |
△4二飛 |
▲2六歩△3四歩▲4八銀△4二飛
四間飛車。例えば飯島流引き角だとして、▲2五歩△3三角▲5六歩△6二玉▲7八銀△7二玉▲7九角に△2二飛と受けた場合、△4二飛は手損だというのが主張の一つ。これが手順前後して3手目▲2五歩△3三角を決めて▲4八銀だと、後手にはすぐ△2二飛とする手があるのを警戒している。
対抗形
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対抗形 | ||
△5四歩 |
▲2六歩△3四歩▲4八銀△5四歩
△5四歩は基本的に中飛車志向。次に△5五歩があるため、先手は▲5六歩と突き返すかどうか。
対抗形、居飛車力戦
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対抗形 | 居飛車力戦 | ||
△8四歩 |
▲2六歩△3四歩▲2五歩△8四歩
△8四歩は相居飛車を志向する手。居飛車のどの戦型になるかはまだわからないが、横歩取り模様にすると、▲4八銀型が損になることが多い。
戦型未確定
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戦型未確定 | |||
△4二銀 |
▲2六歩△3四歩▲2五歩△4二銀
△4二銀は、▲2五歩と伸ばされた時に△3三銀と上がって受けるのが一つの狙い。ただしまだ振り飛車にも出来る。
矢倉、角換わり、居飛車力戦、対抗形
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矢倉 | 角換わり | 居飛車力戦 | 対抗形 |
1手目 |
戦型 |
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▲5六歩 |
▲5六歩
初手▲5六歩は先手中飛車。初手▲7六歩から中飛車を指す場合、▲7六歩△8四歩▲5六歩と▲7六歩△3四歩▲1六歩△8四歩▲5六歩が主なパターンだが、角道を開けた中飛車を間違いなく指したいのであれば、初手▲5六歩が確実である。
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▲3六歩 |
▲3六歩
飛車の小ビンを突く手。狙いは▲3八飛の袖飛車で、後手の対応は三間飛車・相掛かり・何もしない、の3つに分かれる。
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▲4八銀 |
▲4八銀
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▲7八金 |
▲7八金
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▲1六歩 |
▲1六歩
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▲9六歩 |
▲9六歩
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▲7八飛 |
▲7八飛
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