Tierra

 1994年7月14日発売。オリコン最高7位。
 アルバム名『Tierra』はスペイン語で「大地」を意味する言葉。

 L'Arc〜en〜Ciel、メジャーデビューのアルバム。個人的にも好きなアルバムで、構成が整っていて統一感があるのがいい。曲調から言えば『Inner Core』は異色だが。ふんわりした、一般にも受け入れられやすいアルバムだと思う。
 初心者にお勧めは『In the Air』『White Feathers』、シングルの『Blurry Eyes』。異色に思える『Inner Core』や『眠りによせて』も、ラルクの世界観を知れば知るほどうなずけてくる作品。

 アルバムのクレジットに、「Special Thanks」と言うのがある。そこを見ていくと(ローマ字なので少し見づらいが)・・・「HINANO YOSHIKAWA」。もちろん、あの「吉川ひなの」。これがなにを意味するのかは・・・自分で調べましょう。
 また、「Vocal & Chorus Produced by JOE RINOIE」とある。この人は今世の中を騒がせている「武富士」のCM曲を作った人。

No. TITLE words : music :
 COMMENT
1 In the Air words : hyde music : hyde
 「君」はその命を終え空に消えていくのに、「僕」は地上でそれをただ眺めていることしか出来ないという情景。
 静かな始まり方はその後の広がりを感じさせてくれて、好きな曲。
 TV版「スカイハイ」で、事故に遭った友人が今まさに死を迎える瞬間、友人の魂が「空へ溶けていく光景」を目の当たりにした男が「スカイハイ」と言う曲を完成させる話があった。この曲はまさにその画であり、hyde版「スカイハイ」と言っていいだろう。こっちが先だけど。
2 All Dead words : hyde music : hyde
 前曲『In the Air』で殺された「君」の視点で描いた詞と思う。『In the Air』ではその情景だけを描いていたところを、感情に入っていった詞。
 「スカイハイ」の「恨みの門」に辿り着き、復讐を選んだ人間の気持ちはこういうものなのかも知れない。
 友だちで「この曲好き」と言う人がいる。詞を読んで言っていたとしたら・・・少しぞっとした。
3 Blame words : hyde music : tetsu
 前曲『All Dead』に対する、『In the Air』の「僕」の気持ちを描いた詞と思う。またまた「スカイハイ」話になるが、友人の死からインスピレーションを得て「スカイハイ」を創り上げた男もまた、罪の意識に苛まれていた。
4 Wind of Gold words : hyde music : ken
 夕陽の中を、気になる相手と帰っている・・・という情景がストレートに浮かんでくる。
 それとは別に、生と死を繰り返す輪廻転生の中で、「今度の生では貴方に会えるのかな」と言う気持ちもあると思う。
5 Blurry Eyes words : hyde music : tetsu
 『SINGLES』にて。
6 Inner Core words : hyde music : sakura
 非常に理解困難な詞。作曲のsakuraの影響が多分にあると思われる。
 転生を繰り返してきた「意識=Inner Core」はその全てを記憶している。だが転生をするたびにその記憶は当人には忘れ去られてしまうが、その「意識」を取り戻すことが出来たら・・・と言う詞だろうか。
7 眠りによせて words : hyde music : ken
 1994年7月1日、1stビデオシングルとして発売されている。厳密に言う、ラルクのメジャーデビューの曲。
 優しげな曲調は、「母親の胎内」をイメージしている。この詞の主人公は「このまま生を迎えずに眠っていたいのに・・・」と思っているが、「光」が次の生を否応なく迎えさせてしまう・・・と言う情景。
8 風の行方 words : hyde music : ken
 難解さを極めるこのアルバムの中では比較的読みやすい詞。hyde自身にこのような経験があったという話を聞いたことがある。
9 瞳に映るもの words : hyde music : ken
 失った「あなた」のことを思いながら、郷愁にふける姿を描いた詞。「あなた」と過ごしたあの思い出を、「瞳の中に」焼き付けておこうという情景が浮かぶ。
10 White Feathers words : hyde music : ken
 「白い羽」と「臆病者」の2つの意味。
 個人的には初期ラルクのアルバム最強曲。今は『あなた』『Pieces』になっているが、えばぁはこの曲や『静かの海で』のほうが好き。復活を機に・・・なんて。2006年のL'Anniversary Liveで、投票結果が高順位だったこともありついに演奏された。
 アルバムを通して「生(=地上・Tierra)」と「死(=空・Air)」を描いてきた中での、この時点での「まとめ」だと思う。
 「彼」は「彼女」を失ったことで外の世界を拒否し、閉じこもって彼女に見立てた白い鳥を絵に描いていた。彼は彼女を描くことによってその想いを遂げようとしていたが、ふと窓を開けたときに彼は気づく。彼女は「空に溶けただけで(『In the Air』)」ずっとそばにいたんだということを。