INDIES

 L'Arc〜en〜Cielの結成は、1991年である。
 初期メンバーはHIDE(*1)とtetsuの他に、ギタリストのhiro、HIDEと同じ「Jelsarems Rod」(*2)にいたドラマーのperoであった。92年6月にhiro脱退、ken加入(*2)。同年12月にperoが脱退、翌年93年1月にsakuraが加入したことで、メジャーデビュー時のメンバーになった。
 ちなみにこの頃、yukihiroはDIE IN CRIESに所属、メジャーで活動をしていた。それ以前にもZi:killでメジャーデビュー寸前まで行ったことがあるなど、メジャーでの活動に関しては他の3人より先んじている。(*3)

 ラルクには、『DUNE』に収録されず、CD音源化もされていないインディーズ時代の曲が多くある。
 ほとんどが、その当時配布・販売されたビデオ・デモテープを元にした音源である。かつては曲タイトルを確定させるだけでも一苦労だったが、最近はブログでの情報発信や、Youtube・ニコニコ動画などで動画アップロードが身近になったこともあり、インディーズ時代の曲を聴こうとすることは(ファイル交換ソフトでリスクを負わなくても)以前よりずっと容易になったと言えよう。

 インディーズの音源の中では、俗に『unfinished demo 7 tracks』と呼ばれるデモテープと、『sometimes before T・U』と呼ばれるライブ映像が有名だ。
 『unfinished demo 7 tracks』は元々1992年にアルバムを出すつもりでレコーディングしたものが、hiroの脱退など、なんやかんやで発売しないことになり、その後音源が流出したとされる。(*4)
 『sometimes before T・U』は、メンバーのライブチェック用だったものが流出したとされ、Tはhiro在籍時、Uはken在籍時。2017年現在では、勝手にパッケージ化して売っている輩がいるようだ。(*5)(*6)

 初期ラルクでは、初代ギタリストであるhiro(*7)の曲が多く、hiroの脱退と同時にそれらの曲の演奏・収録にはいろいろと制約を受けたようである。例えば『Shutting from the sky』『追憶の情景』はOKで、作曲をバンド名義にして『DUNE』に収録されている。しかし『I'm in pain』『Nostalgia』などがNGとなり、前述の『unfinished demo 7 tracks』がアルバムにならなかったのはこれも一因とされている。

*1 hydeのこと。ラルク初期まで、この表記でハイドと読ませた。
*2 hydeがラルクの前にいたバンド。長らく「Jelsarem's Rod」と書いていたが、正式にはアポストロフィが不要らしい。
*3 Zi:killには89年6月に加入。アルバム『CLOSE DANCE』はインディーズの名盤と言われ、yukihiro本人も「死んだら棺桶に入れてくれ」と述べている。しかし、ロンドンでメジャーデビューアルバム『DESERT TOWN』をレコーディング中に脱退が決まる。90年12月のライブを最後に脱退、91年3月にアルバムが発売されたときには、CDで叩いているドラマーが既に脱退していると言う奇妙な形になった。その後、DIE IN CRIES結成に至る。DIE IN CRIESの事務所がDANGER CRUEで、バンド解散後も残っていたため、結果としてyukihiroは事務所最古参だと言う。
*4 曲目は『Claustro phobia』『記憶の破片』『Entichers』『No Truth』『Dune』『追憶の情景』『I'm in pain』。
*5 『T』の演奏曲は『LOVE』『HEAVEN』『Call for me』『Claustro Phobia』『Blinding Light』『イリーゼ』『BLACK BLOOD』『With Silence』『I'm in pain』。
*6 『U』の演奏曲は『Voice』『Dune』『Claustro Phobia』『追憶の情景』『No Truth』『記憶の破片』『LOVE』『I'm in pain』。
*7 ラルクを脱退後、Ange∞Graie(アンジェグレイ)と言うバンドを結成して活動。peroもラルク脱退後に加入した。Ange∞Graieは後にFEED、そしてFlameへと改名、97年にFlameとしてメジャーデビューを果たし、2枚のミニアルバム『DIVE』『FACE of NOFAKE』をリリースした。(peroはそれ以前に脱退) 2014年にAnge∞Graieは限定で再結成され、hiro、peroが参加している。2015年には、大阪で行われたtetsuyaのソロライブでhiroとperoがスペシャルゲストとして登場し、『I'm in pain』『Dune』のセッションを行った。

No. TITLE words : music :
 COMMENT
## I'm in pain words : hyde music : hiro
 ハードな曲で、今で言えばhydeがソロでやっても全然おかしくない。『MADE IN HEAVEN』みたい。
 脱退したhiroがその後組んだバンドでも演奏されたが、ken加入後のラルクでもそのまま演奏されており、一時期は2つのバンドで演奏されていたらしい。しかしさすがに『DUNE』収録とまでは出来なかったようで、いつしか演奏されなくなった。
 だが、'06年11月の『15th L'Anniversary Live』1日目でサプライズ演奏。知っている客は少なくドン引きだったと、メンバーがTV(『音楽戦士』'07.6.2放送)で発言した。その様子は同ライブ収録のDVD('07.9.12発売)に収録されている。なお、このDVD収録のために作曲をバンド名義として著作権登録がされている。
## Nostalgia words : hyde music : hiro
 上の『I'm in pain』同様にhiro作曲で、脱退時に持ち出されてそのバンドで演奏されるようになったため、いつしかラルクでは演奏されなくなった曲。キャッチーとは言わないが、(えばぁのイメージだった)インディーズの曲とは思えない、メロディアスな曲。鐘の音のせいだろうが、ヨーロッパ的な煉瓦造りの道みたいな風景が浮かんでくる。
 この曲は後にhiroのバンド「Flame」で『Dear Whisper』(ミニアルバム『DIVE』収録)として発表された。メロディがやや変わっているものの、雰囲気は感じられる。ただし、はっきり言えばかっこ悪くなった。
## No Truth words : hyde music : hiro (?)
 ダークで妖しげな雰囲気の、いかにもインディーズ時代っぽい曲。その一方でメロディと間奏のベースが耳につく。『unfinished demo 7 tracks』(*1)に収録されるほどの曲でありながら『DUNE』未収録、そしてその後演奏されなくなったことを考えると作曲者はhiroと思われるが、定かではない。
 この曲の前段階は『BLACK BLOOD』と呼ばれる。いわゆるhyde語(*2)で歌われている。
*1 デモテープ。下段で解説。
*2 英語っぽい言葉を羅列して歌う。仮歌。
## Claustro Phobia words : hyde music : hiro
 『Shutting from the sky』(DUNE #1)の元となった曲。hiro作曲で、hiro脱退時に持ち出されなかったために、『Shutting from the sky』の作曲者表記が"L'Arc〜en〜Ciel"扱いになっていると言われる。また、LUNA SEAにも『claustrophobia』と言う曲があるが、ラルクのこの曲は途中にスペースで区切るのが特徴。
## Call to Mind words : hyde music : hiro
 『追憶の情景』(DUNE #8)の元となった曲。『追憶の情景』の作曲クレジットが"L'Arc〜en〜Ciel"であることから、hiro作曲とされる。
## Heaven words : hyde music : hiro
 『記憶の破片』(後述)の元となった曲。これより前は『Hell』と言う真逆のタイトルだったとされる。
 この曲を元に、hiroはFlameで『冷たい雨』(ミニアルバム『DIVE』収録)と言う曲を作っている。ただしメロディが似ているわけでなく、進行・アレンジが似ていると言うレベル。始めわからなくても、何度か聞き比べれば大体わかる。
## 記憶の破片 words : hyde music : hiro
 『Cureless』(heavenly #8)の元となった曲。「きおくのかけら」と読ませる。
 アレンジは確かに『Cureless』に近いが、メロディと歌詞が全然違う。本曲のメロディと歌詞は『Heaven』(前述)が元であるため、ここではhiro作曲と記述する。つまりこの曲のメロディを取っ払って、tetsuが新しくメロディをつけ、hydeが新しく詞を乗せたら『Cureless』になった。なので『Cureless』はこの前の段階である『Heaven』とは全く似ていない。
## Be destined ※ words : hyde music : hiro (?)
 歌詞で『Be destined』と言っているのはわかるが、メロディも曲調も『DUNE』収録の同タイトル曲とは全く違う、激しい曲。
 Flameが『モノクローム』(ミニアルバム『FACE of NOFAKE』収録)として発表しているため、hiroの曲だと思われる。メロディは違うが、イントロがそのままなのでわかりやすい。
## (イリーゼ) words : hyde music : hyde (?)
 『Entichers』(DUNE #4)の元となった曲で、『Entichers』より激しめ。本当の名称は判明しておらず、「イリーゼと歌っているように聞こえる」ためこう呼ばれる。
## Call for me words : hyde music : tetsu (?)
 『Dune』(DUNE #6)の元となった曲。メロディ・構成はほとんど同じだが、歌詞が違う。
## Blinding Light words : hyde music : ???
 ベースソロから始まる、ダークな曲調。同じタイプの曲調でも、『No Truth』は盛り上がっていくが、こちらはあまりはっきりとは盛り上がらない。
## LOVE words : hyde music : ???
 激しい曲。一応Aメロ→Bメロ→サビなのだと思うが、あまり盛り上がるサビではない。えばぁの聞いたライブ音源では、『Blurry Eyes』よろしく、1度目のサビの後、演奏が止まる。
## With Silence words : hyde music : hyde
 hydeがラルクの前に活動していたバンド『Jelsarems Rod』で演奏していた曲。ラルクでも演奏された。
## (愛しき血) words : hyde music : hyde
 hydeがラルクの前に活動していたバンド『Jelsarems Rod』で演奏していた曲。ラルクでも演奏された。3拍子。正式タイトルは明らかでなく、『愛しき血』とは「そう歌ってるように聞こえる」から呼ばれだした通称だとされる。そのため「血」は「地」と表記されることもある。なお2008年になって、『Moon Seduction』が正式タイトルとの説が出ている。もう間違いないくらいの勢いでこの説は広まっているが、本当に正しいのかどうかは定かでない。
 ちなみに、同じように『Jelsarems Rod』経由で『Blue Moon』と言う曲があったとされているが、今のところ確認されていない。個人的には、インディーズ時代から追っかけている某・古参サイトに全く記述がないため、ラルク版『Blue Moon』の存在には懐疑的である。
## too glare words : hyde music : ken (?)
 『あなたのために』(夏の憂鬱[time to say good-bye]のc/w)の元となった曲。この曲もアレンジは原曲になっていることがわかる。メロディは所々思わせる部分はあるものの、少し違う。このひとつ前は『too...』と言うタイトルだったとか。
## (tetsuの曲) words : hyde music : tetsu
 『tetsuの曲』だとしか明らかになっていない曲。すぐにお蔵入りしたらしい。